これは先日、伊都文化会館にて行われた黒子恒夫さんによる「としょかんの作り方」の講義の様子です。
ぶっくくらぶレポート

としょかん発見塾
第1回「としょかんの作り方」
日 時 平成14年7月3日 午後7時〜9時
場 所 伊都文化会館
講 師 元保谷市図書館長 黒子恒夫さん
公立図書館は市民誰にでも無料で、資料(情報)をいつでも提供する所である。
一番重要なのは資料があること、
二番目にその資料を市民に手渡すガイド役の図書館員がいる事、
三番目に施設(建物)である。
今、国の財政悪化に伴い地方分権、民間資金活用が推められ、
国の補助金政策廃止により図書館建設の条件が撤廃されている。
<従来 図書館長は情報を収集し適切に職員に分担し運営を計るため、
一年以上の司書経験のある者という条件があった。>
これらの事は建物を建てることに主眼がおかれ、
基本の「資料」や 「人」がないがしろにされているのではないか。
大きな建物には、維持管理に多くのお金を要する。決して大きさではない。
民間活用も「市民の図書館」をつくるという基本理念をきちんと市町村の条例で決めて
図書館を作っていかないと、自治体の予算が単年度主義で一年毎に市議会(市民の基本方
針に沿って図書館運営がされているかチュック機能が働くならまだしも、
民間への長期契約となるとチェック機能を失わせることにならないだろうか。
また、図書館利用者の市民のプライバシーを委託職員・民間職員で守りきれるのか?
学校図書館は学校図書法という国の法律で決められているが、
市町村の図書館は市民自身がどんな図書館が欲しいのか決めていく権利をもっている。
民主主義社会において市民が育てる図書館は、「資料」や「人」がある。
いつでも、誰にでも利用できる市民を育てる重要なものである。
図書館は将来を見越してつくられる有機体である。
質疑応答
質問1 前原市の考えているPFTは、基本計画もなく企業に委ねられる心配がある。
答え
PFTの調査がどういう基準で三菱地所に決まったのか、市民はどれ位知っているか。
図書館をどう考えどういう提案をして、他の企業と比べ、どこが良かったのか、
これから先どうしていくのか、市民は情報を知る必要がある。
私が図書館を作る時も市民に出向き話し、道路状況や各年齢層の生活を考えた。
前原市を知らない三菱地所の中間報告をきいて、自分たちの数年先を考え他の図書館をみて、
皆で論議を起こして対案を作っておくべきである。
質問2 民間委託とPFTの違いは? 
答え
委託は建物の管理(清掃等)の様に単年度契約であるが、
PFTは長期契約となり経費を長期間で均すことになり、 根幹サービスの図書館には合わない 。
また複合施設は図書館ではない。
複合施設の館長は施設(建物)を管理するが、図書館長は図書館システムを管理する。
すなわち、図書館サービスの目標を達成するための図書館経営をすることである。

としょかん発見塾
第2回「文庫と図書館の理想型」
日 時 平成14年7月4日 午後7時〜9時
場 所 伊都文化会館
講 師 元保谷市図書館長 黒子恒夫さん
町田市で文庫を創設した目的は、団地に公立図書館を作らせることであった。
多くの母親を中心とした自治会員の努力で、文庫が商店街の一角に作られた。
活発な文庫活動は子ども達の読書意欲をはぐくみ、移動図書館の団地での開館時間が
予定通りに終わらなるほどの盛況になった。
これをきっかけに町田市の第一号の分館を開館させた。
 文庫の活動は本の貸し出し、読み聞かせ、学校へのボランティアと様々だが、継続の秘訣は
《文庫活動を自分育てとして、自分が楽しめるように個性的に運営すること》である。
最近の子どもの本離れの原因はテレビ、ゲーム、子どもを取り巻く環境と様々だ。
しかし、子どもの喜ぶ笑顔が文庫活動のエネルギーだから、
気持ちを伝える大切さを大事にして欲しい。
図書館の文庫に対する仕事は資料の確保である。利用者にみあった選本、品揃えをすることだ。それに対し、文庫は独立した存在であるべきで図書館に遠慮することなく
リクエストをするべきである。
文庫は絵本や児童書に深く関わる活動であるから、文庫からのリクエストは図書堪忍の
児童書への選書基準や出版情報知識を広げることになる。
文庫の要求が図書館を育てる事になるといえる。文庫連絡協議会は文庫の
情報交換やテクニックの向上を促す場として積極的に利用した方が良い。
  文庫活動の活発な地域には良い図書館が育つと言われています。
文庫活動が子どもの読書意欲を育て、母親から父親へと図書館の利用が広がる
大きな原動力になります。利用者が増えれば、図書館活動が活発になり、
資料費や職員が増えます。これが図書館が有機的に育つと言うことです。
 図書館作りは図書館の見学、図書館の研究、図書館への提言など。
良い図書館サービスを見る、聞く、体験することで、
自分たちにどんな図書館サービスが必要なのかを知ることになります。
市民の図書館は市民が作るものです。
質疑応答
質問1 子育て支援センターなどで012才児に読み聞かせを頼まれますが、効果は?
答え
気長な目が必要です。012才にその場での反応や効果は少ないかもしれませんが,
絵や物語を楽しむ雰囲気を体験していくことで、心に伝わるものがあります。
読み聞かせで伝えたいものは文字ではなく、物語ではありませんか?
質問2 図書館ができてから市民の利用に差が出るのはどんな理由ですか? 
答え
館長や司書の力量です。市民が利用したとき、自分の求めていた本に巡り会える事が図書館の
印象を良いものにします。司書は利用者の求めている資料を時代の流れや地域性を考慮して
そろえることができる力量が必要です。利用したい本のある図書館は利用率がのび、
資料費や職員も増加し良い図書館へと発展します。
委託運営やカウンター業務がアルバイト では、良い図書館運営はできません。
ぶっくくらぶの開催する図書館発見塾講演会をレポートしています。
としょかん発見塾は前原市民による前原市の図書館作りのための勉強会です。
どなたでも参加できます。
講演会の開催情報は「今月のぶっくくらぶ」でお知らせします。


いとぐら、独り言・・。
私たちは「図書館」という形だけが欲しいのでしょうか?
不可解な『力』が働いてただ単に市民が欲しいと言った"うわべだけ”の建物(図書館)を
前原市が持ったとして何の意味があるのでしょうか?
外見が豪華な建物で中身はスカスカの図書館・・いらないですよね。

べつに外に向けての物ではなくて、地域の住民(市民)がちゃんと利用し続ける事のできる
文化度・文明度が存在する「図書館」=コミュニティーセンター。
始まりと未来はそこにあのではないでしょうか。

けっして利権がらみのみで作られる箱モノはいらない!



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