糸島自然研究会 6月例会報告 「鳴滝」二丈町波呂
清水 和人
 平成16年6月13日(晴れ)。2日前の天気予報では台風接近の情報がしばしばテレビに出ていて、6月例会は中止かなと思っていた。ところが、前日の午後から台風は温帯低気圧にかわり、空模様も一変して東の空には眩しいばかりの入道雲が現れた。
 当日の朝はからりと晴れ上がり、田んぼには田植え前の準備をするお父さんたちの姿があちこちで見られる。午前9時40分 龍国寺駐車場に集合した者17名。早速、参加カードに氏名等を記入して頂き参加費を徴収する。参加費徴収後、点呼と本日の日程を説明し10:00に出発。(6月例会案内に書いていた龍国寺のお庭拝見は都合により午後にした)。
駐車場を出て完全舗装をされた坂道を登る。5〜6分も登ると集落を通りすぎ道路の両側は・ミカン・カキ・ウメ等が植えられ、黄色く色づいた甘夏柑は収穫されないままの木が多い。
この辺りから柑橘園の奥にはスギやヒノキの人工林が広がり、他の地域同様、人工林の中にマダケやモウソウチクが繁茂している。嗚滝から流れてくる谷川の両脇に僅かばかりの雑木林が続いている。カーブを幾つか進むと坂道は大きく伸びた杉の枝に覆われ目陰が続き顔に涼しい風を感じ心地よく登っていった。
 杉林の林床には・ウバユリ(ユリ科、低い山地の林下に生える。葉は大きくハート形である。
葉を5〜6枚出した後に、茎力研申び50〜1 0 0 cm位になる。8月頃、自色で内側に小さいうすい茶色の点がある花を数個着ける。花がおわる頃には葉が枯れてしまい葉(=歯)がないことを姥に懸けて付けられた名である。ゆり根(本当は茎)からは質のよい澱粉が得られる。料理に使っても美味である)。
・ハナミョウガ(ショウガ科、花は5〜6月。当日は花はちっていた。短い茎から2列に数枚の葉を出し、高さ40〜6 0 cm。 葉は細長い楕円形で両端は尖り、両面に細軟毛がある。花は白色で、下の花弁には赤い筋が入り、穂状に多数つける。実は楕円形、赤く熟し、「伊豆縮砂」といって健胃、利尿薬とする)。
・ユキノシタ(ユキノシタ科。ジンジソウに似て、地上や岩の上の湿った日陰に生え、全体に赤褐色の粗い毛が密生する。葉は長い柄をもち、暗緑色で裏面は暗紅色となる。5〜6月頃高さ20〜5 0cm位の花茎を出し、上部に多数の白い花をつける。花弁は5個でそのうち2個が大きい)。九州の花図鑑には名は「雪の占」で、雪のように白い2枚の花弁を舌と見たもの。と書かれている。
・マムシグサ・ウラシマソウ(湿った山林や竹やぶに生える多年草。球茎は平たい球形。葉は1本直茫し、葉柄は多肉質で長い円柱形、高さ40〜5 0cmで暗緑色に紫斑がある。晩春、葉柄の基部から短柄をだして肉穂花序を直立、包は筒部が汚白色で暗紫色をおびる。花軸の先端は紫黒色で長いむちのようである。果実は赤く熟す)マムシグサとは葉全体の形で区別できる
・ハナウド(セリ科。山野に生える多年草、茎は中空の円柱形で、あらい毛があり高さ約1.5m位。晨は大きく柄があり、互生で毛をもつ。根生葉の柄は長い。夏から秋に大型の複散形花序をなし、多数の白花をつれる)これによく似た・シシウドは秋に白い花を多数つける。葉の基部はさやとなって茎をいだくので区別ができる。
・マタタビ(サルナシ科。山地に生える落葉つるせいの植物。葉は柄があり互生。つるの先端の葉は白色を呈する。夏に葉液に白色の花を下向きに開く)。
その他、嗚滝までの道路脇で観察した植物は・キリ・クワノキ・ジュズネ・イズ
センリョウ゛ゼンマイ・タチシノブ・ホラシノブ・マメヅタ・ナガバノイヌワラビ・オオバノイノモトソウ・ヘラシダ・クリハラン・コケシノブ・アマクサシダ・ドクダミ・ノハカタカラクサ・ウド・イタドリ・ヒメジョオン・カラクサ・ヨウシュヤマゴボウ・ムサシアブミ・ヒロハノマンネングサ・ハエドクソウ・ミズヒキ・コクラン・ハコベサンショウソウ・ヨツバムグラ・ヤブジラミ等を観察した。

 嗚滝は5段になつていて、最初一番うえの滝に到着したのが午前11時頃。誰かが向こう岸に渡られるようにコンクリート制の橋をかけてある。私達は橋を渡り、滝壷近くに寄って覗くと、滝壷は浅く水は澄んでいる。皆が揃ったところで滝をバックに集合写真を撮る。下゙の滝へは岩盤の土に苔が生えたり、落ち葉が降り積もったりした細い坂道を下っていく。それぞれの滝で出来るだけ滝壷に近づき上を眺めると、滝の流れはニ重三重こなって見える。断崖絶壁から水が落ちてくるのではなく。水しぶきを被ることはない。5段目の滝まで行くと滝壷の手前の小さな広場に藤棚(赤い支柱)があり、皆はこの広場や周辺の平らな岩に腰をおろし弁当にした。(昼食後集合写真を撮る)
 午後1時頃下山。往路を引き返す。滝から5〜6分下った所に北側が開け、石崎や浜窪、可也山等が見られる場所がある。(往路ではここで一休みした。)若宮八恵さんが「この下の方にある蜜柑園のオーナーさんが、貴方たち、ここ蜜柑畑のみかんは必要なだけ取っていいよ。」と言ってあったよ。皆は遠慮なく頂くことにした。重い蜜柑を駐車場までさげて帰ってきた。ここで用件の有る方は解散にした。残りの者は、龍国寺のお庭を拝見させて頂いた。住職直々のご案内で裏山の・サツキ・アジサイ・モミジ等々見事なお庭を拝見した。図々しくも、門徒会館でお茶まで頂き、帰りは前庭の大杉3本 (樹齢300年はすぎている)に・フウランが寄生している所や、1世紀前頃の火事でおかの門だけが焼け残ったが、垂木にはその時の焼け跡が今も残っています。と説明して頂き、静かに門を出て帰路に尽きました。
 参考文献(九州の花図鑑。学生版 牧野日本植物図鑑。中村浩著 植物名の由来)



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