糸島自然研究会 5月例会 彦山 報告 通称 野北彦山(231.7m)
清水和人
 平成17年5月8日(第2日曜日)晴れ。ここ数日晴天が続きだが今朝は薄曇り。山登りには好都合だ。目的地の山も低く、距離的にも近いため野北バス停集合を午前10時30分とした。野北バス停に集合した者19名。太宰府市や福岡西区からも6名ほどの参加があった。早速、参加カード記入、参加費徴収して、本日のコースを説明し10時40分にバス停を出発した。
 出発して間もなく民家の屋根や野北漁港が左手に見えてくる、3月20日福岡市西部沖地震で瓦が壊れたり、落ちたりしているのでしょう。屋根を青いシートで覆った家が何軒もあった。
足元の舗装道路も良く見ると至る所に南北に走った地割れが目につく。震源地に近いため被害が大きかったようだ。しかし、漁港からは幾つもの船団が飛沫をあげ沖へ出る漁村の力強さも見た。
 暫くは地震の話しが続いたが、やがて道路の両脇が維木で覆われるようになると、皆の目は、草花や木々の新芽に移る。・ヤプジラミ(セリ科、野原や道端に生える2年草。茎は直立、高さ60cm位,夏小枝の先に白色の小花をつける。果実にとげ状の毛がある)
・ヘビイチゴ(バラ科、原野や道端に生える多年草。茎は長く地上を這う。葉は互生、長い柄をもち、毛がある。春、葉の付け根から長い花柄を出し先端に黄色の花を1個つける。花弁は5個)・クサイチゴ(バラ科、山野に生える草状の木。高さ20〜60cm赤く熟して食用となる)。・ツルソバ(タデ科、暖地に生えるつる性の多年草。茎は長くのびて分枝する。無毛。花期は5〜11月。花は枝の先に頭状に集まる)・フウトウカズラ(コショウ科、花は4月〜5月。暖地の林下や岩上に生え葉は緑色。葉は厚く卵形で先が尖り互生。葉腋から花柄を出し、穂状の花をつける。実は赤く熟し下向きにに垂れる)。
スダジイやマテバシイが坂道を覆い、崖下の海からヒンヤリとした潮風が吹き上げてくる。林床には・ノハカタカラクサ・ムサシアプミ(サトイモ科、低い山地、海沿いの林下に生える)・マムシグサ(サトイモ科、山地や原野の林下に生える多年草。茎は紫褐色のまだらがある。葉は2片で緑色。花は4〜6月。茎の表面の斑もようから。この名がある)。
その他。道路脇の林縁では・クルマバアカネ・ヤエムグラ・ヤマグワ・ソクシンラン・ノイバラ・イヌビワ・ハマビワ・ナガバモミジイチゴ等を観察した。
 夢想庵の脇を通り裏手にまわると、20〜30年前は多くの人が野北彦山山頂に鎮座する一日子山神社(祭神は天忍穂耳尊、いざなぎ,いざなみの尊)いこ参拝する時この山道を往復したと思うが、現在は孟宗竹やマダケが入り、生コンを流した坂道の割れ目には雑草や雑木が生えている。また、落ち葉が積もり倒木が横たわり、水害で流され陥没したりしている所もある。そのため、人工林に入り篠竹や藤かずらなどを避けながら登った所もある。神社近くになると、道幅約1.5m程の苔むした石段が続く。正午近くに神社の広場ヘ到着。境内の広さは(平地のみ) 20m四方位で、予備調査のときより綺麗に除草され、周りの杉林の下草も刈り取られていた。現在地元の方は野北スコーレヒル(別荘地)の車道を車で登って来てあるのだろう。この境内で集合写真を撮り、こから北へ約2km程下った所にある「大山城大神」の石碑が建っている広場へ向かった。
 途中の坂道は舗装道路で道幅約5mあり、車は安心して離合出来る。東斜面は別荘地でその先は志摩シーサイドカントリークラプから大口海岸、更に紺碧の玄界灘へと続く。
 西側は急な斜面が深い海へ吸い込まれるように迫っている。遠くには唐津湾がキラキラと輝いて見える。別荘地の家々を右手に見ながら下っていくと正面から潮風が心地よく吹き上げてくる。途中観察した植物は・ツワブキ・フキ・ゴヨウアケビ・ノグルミ・サルトリイバラ・ツルウメモドキ・キランソウ・タブノキ・イボタノキ(モクセイ科、山野に多い半落葉木。高さ1.5〜3m程で、庭木としても植えられる。若枝には細かい毛がある。花は筒状で5月頃小枝の先に花穂を出し、白色の小花をつける)。
 大山慨大神の石碑周辺の広場は周りに・サクラ・ネズミモチ・スギ・ヒノキ等が植えられ、石碑の周りは一段高く、ほぼ四角形にコンクリートでぬり固められ、その奥に背丈位の高さに近くから出た大小さまざまな石を積み、上はコンクリートで平らにし、中央に大山祗大神と刻み込んだ石碑を南向きに建ててある。ここも福岡沖地震の被害があり、石碑の石垣がずれたり、コンクリートのひび割れが目につく。広場の端っこに行くと地滑りも見られた。芝を張った広場にも注意して見ると紬く南北にひび割れしているのに気がつく。ここからは360度の展望ができてのんぴりと遠くの山々や漁に出た白い船団を見ながら弁当を食べ、日向ぼっこもした。
 広場の片隅に沢山の実をつけた・オオイタビがある。数人がその周りに集まり、「この丸い実の中に雄花と雌花が沢山詰まっています」。と言って実を二つに割って見せている。「この実が熟するとたべられるよ」と言って試食している人もいた。「まだ、渋い!」と言って吐き出していた。しばらくすると双眼鏡で遠くの島々を見る人も増えてきた。その中の一人が「壱岐島が見えた!」と言うと、皆がその方を見る。水平線上に霞んで見えている。しばらく、素晴らしい展望を楽しみ集合写真を撮って下山した
 帰りは、篠竹やススキが生い茂る斜面を、凡そ1.5m程の幅で刈り取られた緩やかな坂道を舗装された車道まで下ってきた。ここからは青く穏やかな玄界灘や遠くの唐津湾に浮かぶ島々を眺めながら野北バス停まで下って行く。途中、何台もの乗用車に出会った。野北バス停には2時40分頃到着。ここで解散。
 ○参考文献九州の花図鑑。原色日本植物図鑑。牧野日本植物図鑑




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