糸島自然研究会 2007年2月例会報告 火山〜瑠璃光寺

瀬知 従子
 今年の冬は異常に暖かい。喜んでいいものかどうか心配であるが、今日の例会は絶好の日和であった。その天候のお蔭か自然研始まって以来の参加者数である。
 稲留バス停9時50分を待つまでもなく、稲留公民館前広場にはすでに20名以上が集合してあり準備していた参加カードが不足し、会員分は別記することとした(大人49名・児童4名・幼児1名 合計54名)。
 志摩町の「里山を守る会」発起人 井原忠良(元志摩町長)氏から「火山の現状やその保護活動についての話、その他午後から、公民館の利用がある為、参加者の車の駐車は蓮照寺の駐車場をお借りしているから、そちらへ移動してください。」との話があった。
 246mの山とは言え、54名を確実に掌握するため、15名〜13名編成で4つの班に分け出発した。
 10時をずいぶん過ぎて、お寺の右側へ廻りなだらかなみかん畑の坂道をのぼる。道路脇に栽培された花木を楽しみながら歩く。遅咲きのスミンロウバイ(素人蝋梅)が盛りである。秋から正月前に出荷されたと見られるパンパスや斑入りの竹、センリョウ、それに並んだようにダンチクも。もしかしてダンチクも何かに利用されるのだろうか?足元にはジャノヒゲ・ハコベ・セリ・ナズナ・タビラコ・(コオニタビラコ)・オニタビラコそしてもうオオイヌノフグリが可愛い青い花を2分ほど咲かせている。少し道路わきに目をやるとヤエムグラが草を分け分け背伸びしている。小学生の女のお子さんが「これ、くっつくよ!」と服に飾った。「私らが子どもの頃には、勲章と言ってくっつけていたよ。」と,言ったらその言葉を後々覚えて使っていた。「勲章」の意味がこの子らにわかっただろうか。壁のように木々を覆って伸びているキズタやフウトウカズラが両方近くにあることも多くて、その区分にはたと戸惑うことがある。キズタはウコギ科でヤツデの仲間だけに花や実の付き方が似ている。フウトウカズラはコショウ科で花は細長い房状で赤い粒々の液果がややこぶし様にぐりっとまるまっている。
 オオイヌノフグリに似ているが、花があまりにも質素なフラサバソウ。よくよく見ると葉の鋸歯が、イヌノフグリは一面に均等にあるのに、フラサバソウの葉は、先端の突起部分が幅広く両側が2〜3対の鋸歯になって特徴的葉型になっている。牧野日本植物図鑑には出ていないが、原色日本帰化植物図鑑には欧州原産。明治初年日本の長崎で採られたとの記事があり、今は全国的に広がっている帰化植物である。
 目当たりの良い道端にぽつんとスミレ(コスミレ?)がさいている。
 竹炭焼きの窯の側を通って車道を行くと直ちに瑠璃光寺下の広場である。その近くにヒメウズ(姫島頭)が、またムラサキケマンは少し早めの春に身を縮め、固まって花をひらいている。一瞬別ものかと見間違いそうだった。
 アスファルト上に小さな楕円形の豆状の種が散らばっている。女の子が「猫の小判」だという。 丘どもの世界ではこれがブームだそうである。これはハゼノキの核果である。近くにそれらしき落葉樹がある。小鳥(カラス)が食べて電線の下の歩道にいっぱい落としているのを良く見かける。ハゼ負けはしないのだろうか。
 瑠璃光寺の下の広場でウソの観察をしようと、金貞さんに望遠鏡を設置して頂き、暫く待つが、声はすれども姿は見せてくれない(鳴き声はフッーッとかホーッ)。人が多すぎて警戒しだのだろう。翌日、金貞さんが一人で行かれた時は姿を現したそうだ。
蜜柑畑や登山道で、姿を見せた鳥は、ホオジロ・メジロ・シロハラ・カワラヒワ・ヒヨドリ・ハシブトカラス・ハシボソカラス・スズメ・アオジ。またマヒワが頭上を群れをなして飛びかっていた。姿は見せないがシジュウカラやヤマガラ・エナガ・ツグミなどの鳴き声、また早くもウグイスのささなき(チャッチャッ)も聞こえたそうである。関心の度合いで聞こえたり聞こえなかったりのようである。
 火山の頂上でのハングライダーの飛行は、碧い海を背景に見事な眺めだった。瑠璃光寺まえの公園でそれぞれ弁当を食べ、1時に集合して写真を撮った。
 帰路大変珍しい木があるということで脇道に入る。ナギのような葉(平行脈)でその先に小さな葉が付いていろという。想像も付かず現地に行ってびっくり。初めての出会いであったが台湾に居られた方からソウシジュ(想思樹)(タイワンアカシア)と教えて頂いた。向こうでは、よく見られるという。図鑑で調べると発芽して間もない若枝にだけ見られる現象で、ナギのような細長い葉身は実は葉柄でその先に本当の葉身が普通のアカシア状の偶数羽状複葉をつけているのだそうである。この地は珍しい花木が多く栽培されている。この他にもコウコウチク(孝行竹)やキッコウチク(亀甲竹)にであった。
 帰りは、井原さんの紹介で竹炭窯に寄って甘茶や笹茶の接待を受けた。また今日は、火山の脱出を守る会の方々が老若男女竹切作業に精を出してあった。
 バスの時刻より早めに下山し、2時半にはそれぞれ車に便乗して解散した。
 多人数に心配もしたが、途中ハプニングはあったものの皆楽しく無事に1日を終えてよかった。文中記録出来なかった植物を列記しておこう。
                               
(草本)・スイバ・オオアレチノギク・ノハカタカラクサ・センニンソウ
(木本)<落葉>・クコ・アカメガシワ・カラスザンショウ・イロハモミジ・ハクサンボク・マユミ
・クサイチゴ・ノイバラ・イヌビワ
<常緑>・トベラ・ナギ・タブ・シロダモ・ヒサカキ・ネズミモチ・ハマビワ・モリシマアカシア
・ナワシログミ・アラカシ・ホルトノキ・ヒメユズリハ・モッコク
☆参考文献: @牧野日本植物図鑑 A原色日本植物図鑑


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