糸島自然研究会 2008年3月例会報告 鏡 山(アオモジ)(3月9日)

清水 和人
 平成20年3月9日(第2日曜日)曇。今にも降りだしそうな空模様だ。 10:08JR虹の松原駅下車。駅前広場には既にマイカーの方も集合してあり、早速 徒歩組は3台のマイカーに分乗し1 0 : 1 2駅前を出発した。鏡山公民館前の鏡武道館駐車場に集合した者 8名。参加カードを配付し、参加費を徴収、人員点呼もそこそこに10:25頃大塚氏を先頭に鏡武道館駐車場を出発。武道館の裏側の道を南へ10分程進と、鏡山登山人口に到着。この頃から小ぬか雨が降りだしてきた。しかし、防水したジャケツトなら雨傘をさす程でもない。
 皆は道しるべの矢印に従って簡易舗装された登山道路を登って行く。登山道路の往来は多く、大の散歩をさせながら下りて来る人、坂道を駆け足で登ってくる小中学生など、行き交う度に軽く挨拶して去っていく。小中学生はおそらく下の武道館へ練習に来た子どもたちであろう。子どもたち同志でも先輩、後輩でしょうか元気な声で挨拶を交わしている。私達も子どもたちから元気を貰ったような気になり、足取りも軽く登って行く。
 登山道路の両側は大きな雑木や杉が枝を張り日蔭を作り、大きくカープする所で僅かに木漏れ日を感ずる程度で、夏でも日蔭が多く登りやすいところではないかと思う。
 道端の草花や樹陰の小低木はどれも柔らかそうな新緑で食する事ができそうだ。誰かが「ウバユリの葉は食べられそうね。」と言いだすと、「これはキランソウと言うが別名地獄の釜の蓋ともいうよ!」「これはムラサキケマンだ。」「この木はカラスザンショウです。若木には刺があるが、大きくなると根元の方は刺が落ちている。」言われた通り下の方は刺が
なく上のほうにはまだ刺があり、木の実も付いていた。こうして次々に出てくる草や木の名を言ったり、名前の由来や植生について話し合いながら、楽しく登った。遠くの谷間に目をやると、黄色い花を付けたアオモジが見えた。何人かが指さしてアオモジだ、アオモジだと言う。すると誰かが「頭の上にもアオモジの花が」と言うと、皆が近寄ってきて「これは雌花だ、あれは雄花だよ1」と言う。わいわい言いながらいつの間にか7合目近くまで登って来た。道路脇に胸高囲3〜4mもあるサクラの巨木が道を覆い、その根元に「さよひめ桜」と書かれた看板が立てられていた。「桜の花が咲くころ、もう一度来てみる1是非来てこの花を見ようよ!」と仲間を誘う声も聞こえてきた。3年前は3月の第3週に来ているので桜の満開に出会い。この木の下で集合写真を撮った。少し登と大きくカーブした開けた所がある。ここからは唐津城をはじめ松浦川、唐津競艇場、高島などが間近に見えて、素晴らしい眺めであった。これからは道路脇に桜並木が続き、桜と桜の間に数年前に植樹されたイロハカエデやアジサイの幼木が育っていた。
 此処までに観察できた草本を列記してみる(重複はさける)鏡武道館の庭隅にキンモクセイの実(牧野植物図鑑には雌雄異株であるが我が国にあるものはみな雄樹であるため結実しない)と書いてある。よく似たギンモクセイも結実はしないと書いてある。「実がなるのは珍しいと言って写真を撮った。 ・タネツケバナ・オオイヌノフグリ・ウバユリ・ハナミョウガ・ヤマアイ・コボタンズル・オドリコソウ・アマクサシダ・ホラシノプ・タチシノプ・コシダ・ヤプソテツ・イワガネソウ・イノデ・ハクサンボク・アオキ・ネジキ・マテバシイ・トベラ・ツバキ・アケビ・マンサク・クズドイゲ・ニワトコ・コプシ・イヌガシ・オカメザサ等を観察した。
 あと800m付近で坂道から少し入った所に、黄色の花を枝一杯に付けた・フサアカシヤを見つけた。九州の花図鑑には本当のアカシヤはモリシマアカシアとフサアカシヤの二種であると書かれている。更に坂道を登ると桜並木の下に・ヒサカキ・ゴヨウアケビ・ビナンカズラ・フウトウカズラ・キズタ・イノモトソウ・イヌツゲ・ノジミスレ・アセビ(白い花)あと一息という所から階段が続く。階段の両脇は・スイセン・ハボタン・アジサイ等が植えられ登山者の気持ちも和らぐ。階段も残り数段になった所に朱塗りの鳥井が裏手の方へ続いている。最初の鳥井には「子車稲荷大明神」と書いてあった。ここから4〜5段登ると、子どもたちが草スキーを楽しむゆるやかな斜面が広がり、その先に白銀のテレビ塔が見えて来る。この斜面をゆっくり登り、12時半頃西の展望台へ到着した。雨あしは少し強くなり傘が必要になってきた。幸い屋根付きの休憩所や食堂や土産店もあり、思い思いの場所で昼食にした。
 食後、「さよひめ」像の近くにある記念碑の前で集合写真を撮り、展望台へ行った。少し霞んでいたが、姫島、十坊山、高島、虹の松原等々を見ることができた。 10分程景観を楽しみ帰途についた。

フサアカシヤ
(マメ科、花は3〜4月)は、オーストラリア原産の小高木。長さ3〜4oで線形の小葉が片側に30〜40枚の羽片が、葉軸の両側に8〜20対ついて一枚の葉になる。葉は粉っぽい白みを帯びる。

クスドイゲ
(イイギリ科、花は9月)は沿海地の林内に生える。雌雄異株の低木。幹・枝共に長さ2〜3 cmの鋭い剥がある。葉は卵形で先は尖り、緑はぎざぎざの鋸歯がある。

セントウソウ
(セリ科、仙洞草 花は 4〜5月)林下の日蔭に生える軟弱草で、高さ10cm内外の茎葉は二回羽状に分かれる複葉で、小葉は更に深く切れ込む。柄は紫色を帯びる。
(カット図は九州の花図鑑より)


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