糸島自然研究会 2008年5月例会報告 北九州市 平尾台(5月11日)

清水 和人
 平成20年5月11日(日)曇り後晴れ。昨夜からの雨は夜明け前に上がり、急いで出発の準備をし、午前7時30分頃家を出た。
 前原駅前の松田皮膚科前には既に貸し切りパスは到着し、早くきた人達は若宮さん、冨高さんの受付と会費納入を済ませバスに乗ってあった。勝田氏と橋本さんは前原駅南口の方で、今日の参加者を前原駅北口の方へ誘導してある。 8:00「もう誰もみえません」と言ってバスの方へ戻ってくる。
 松田皮膚科前から乗車する人数を確認し、8:07バスは出発した。バスは西九州自動車道の高架下を走り九大学研都市駅北口へ回った。ここで6人が乗車し参加者は合計30人。
 バスは学研都市駅を出て今宿インターから都市高速にのり、九州自動車道をひた走り、小倉南から平尾台へ向かった。平尾台へ到着するころは、五月晴れとなり、車窓から見る野山は雨上がりの新緑が眩いばかりに輝いていた。
 平尾台自然観察センター管理事務所前の駐車場にバスは10時に到着した。早速、清水、若宮、大塚の三人は管理事務所へ行って今日の参加人数を報告し、「見晴らし台、茶ヶ床へ行く途中、平尾台自然公園監視員さんに出会ったら、いろいろとご指導を受けたい。」と話すと「もし出会ったら尋ねられていいですよ。」との返事を頂いた。管理事務所を出て皆の所へ戻り、何時ものように、参加カード記入、諸注意と、「今日は皆の道案内役は大塚さんです。大塚氏の指示に従うこと」と言って出発。皆は見晴らし台の方へ進む。民家の庭先に咲く花をみながら歩いていく。やがて道は牡鹿洞と見晴らし台へ行く道に分かれ、私達は見晴らし台の方へ進んで行く。路傍では・ノアザミ・シロバナタンポボ・ニガナ・ノジスミレ等可憐な花をつけている草花や、草原を気持ち良さそうに飛び交う・シジミチョウ・アゲハチョウ・モンシロチョウ・モンキチョウ等を観察し写真を撮りながら進む。足下をふと見ると茎は細く高さ20cm前後で、葉のつけねに小さな青紫色の花をつけた・ホタルカズラを見つけた。先の方にも何本もある。「1本ずつなのにどうして○○カズラと呼ぶの?」と言う声が聞こえて来る。帰宅後、植物図鑑を開いて見ると、花後、茎は伸びて蔓状になる。と書かれていた。これは蔓性のクズの仲間でなく、別名・ホタルソウと言って・ハナイバナ・キュウリグサの仲間で、五つの花弁をつけている。その他、茎の高さ30〜5 0cm位、葉は細長く、縁に尖った鋸歯がある。・タカサゴソウを見た。根生葉は東生し、初夏に茎の上部が分枝し、多数の舌状花よりなる頭状花をつける。舌状花は白く、外面がやや淡紫色を帯びる。キクの仲間である。次に、花壇では良く見る・シランが手前の方から丘の上の方まで石灰岩の間を縫うように生えている。岩肌の白とシランの花の濃紫色があざやかなコントラストをなしている。カメラマンは近くまで行って写真を撮っていた。われわれは道路脇から写真を撮る。
 暫く登ると360°展望が出来る見晴らし台に到着。既に、管理事務所から連絡を受けられた監視委員さんが、私達の到着を待ってあった。監視委員さんに簡単な挨拶と自己紹介を済ませ、平尾台の規模や地形、野草、鍾乳洞、ドリーネ等について説明して頂いた。@,平尾台は日本三人カルストの一つで、南北約6km、東西約2kmの結晶質の石灰岩が浮き上がった台地で標高360m以上あり、天然記念物・北九州国定公園に指定されていること。A,羊群原がある北側は石灰岩が雨で浸食され様々な形をした白い岩ですが、直方側の南半分は花崗閃緑岩で黒っぽい岩肌です。B,この下の擂鉢状に窪んだ所をドリーネと言って、周りの石灰岩が長い年月、雨水で浸食し陥没した所に周りの土砂が崩れ落ちて出来た穴です。こうして出来た、ドリーネは平尾台に沢山にある。C,中峠を越すと広谷湿原があり、湿原特有の植物も観察できる。D,パラグライダー発進基地もある。E,目白鍾乳洞の他、平尾台には鍾乳洞が幾つもある。等説明して頂いた。私達はお礼を言って、茶ケ床へ向かった。
 茶ヶ床に11:30頃到着。後方の方は・フナバラソウ・キンランを探しながら車道から少し内に入って上って来る。後方も10分程遅れて到着。日当たりの良い場所で昼食。腰を下ろした石灰岩の周りには・ヤブレガサ・クサイチゴ等がある。茶ヶ床までに観察した植物は(重複を除く)・チガヤ・オカルガヤ・カモジグサ・ススキ・シャガ・ヤエムグラ・ジシバリ・ハルジオン・カノコソウ・オドリコソウ・アマドコロ・ミヤコグサ・ヤマツツジのほか時期的に少し早いが、葉や茎に剥があり、茎の部分が幾分平らに見えたアザミを見た。これは・ヒレアザミではないかと思った。
 昼食が終わり一休みしたところで、大塚氏が目白鍾乳洞へ行きたい人だけ集めて引率。距離的には茶ヶ床から300m前後。凡そ20人程鍾乳洞へ向かった。鍾乳洞近くは少し樹木があり、・ヤブガラシ・ヘクソカズラ(ヤイトバナとも言う)・クサイチゴ・アキグミ・オオヘビイチゴ・ネジキ・ウツギ・ネムノキ等を観察しながら洞窟の前まで来ると、直径3m程もある大きい古タイヤが立ててある。余りの大きさに驚いていたが、売店の中から70歳すぎのお祖父さんが出て来て「入場料金は5名以上だったら割引します。何人洞窟へ行かれますか」と言う。大塚氏が希望者1人¥250を集め、皆は店の裏口から洞窟へ向かった。中は湿っていて滑りやすく用心して中へ進む。説明には平尾台で最長を誇る横穴と一枚天井が魅力です。と書いてあるが、実際にはそんなに奥の方までは入れない。20分程で皆は戻って来た。
 皆はお祖父さんにお礼を言って茶ヶ床まで戻って来た。ここで中峰を通り岩山近くで見た・オキナグサの群落地まで行き、花びらが散り、翁の白い髭の様におしべが残っている姿を見に行く人と、ここから約1kmほど下って管理センターヘ戻る組に分かれた。管理センターヘ戻る人は6名。その他はオキナグサを見に行った。すぐ近くにオキナグサの群落があったと報告。
私達は皆より1時間半程早くセンターに着き、館内の展示物を見た。平尾台は3億年前から大陸の地殻変動で赤道近くにあった地層が、この平尾台まで移動して来た。その為今も、サンゴの化石や貝殻の化石が出て来る。と説明してある。その他現在平尾台に生息する動物の剥製や昆虫、収花の写真等も展示してあった。玄関前の植え込みにはオキナグサが白い髭を垂れているのも見た。皆が帰ってきて20分程休んだ後、センター前の広場で全員の集合写真を撮り。
15:30頃センター前を出発し一路前原駅前へ向かった。17:30頃前原に到着。全員無事に帰ってきた。 (解散)


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