糸島自然研究会 2009年9月例会報告 花乱(からん)の瀧(福岡市早良区)(9月13日)

若宮 八恵
 H.21年9月13日(日)昨日の雨で山々がすっきりして晴天に恵まれ、早良区石釜の鳥飼豆腐店駐車場に、マイカー5台、13人の方が参加された。参加カード記入など事務的な手続きを済ませ、清水会長から、挨拶の後に本日の行事日程の説明と注意が済み、10時60分に出発し、歩道を―列になって歩き出した。
 右手の田圃には稲穂が稔り、畦に、タカサブロウの小さく白い花がすぐ目につく。高三郎の語源は不明らしい。やがて、茎が立ち上がっているオオニシキソウが目につく。北アメリカ原産で、橋本さんの拡大鏡で小さな赤い花を確かめながら、「きれいね」と周りの人たちの声が聞こえる。メドハギ、イタドリ、アキノノゲシなど、次々に現れる花たちを囲んで、清水先生の説明が続く。キカラスウリの実が少し黄色く熟れ始め、クズにも赤紫色の花が咲き出し、蔓がからみあっている。
 車の通行が多い道路を注意して横断し、花乱の瀧へ向かう。オトギリソウの黄色い花も見え、ゲンノショウコの紅色の花も土手に次々に咲いており、ヒガンバナも、そこかしこに咲き始めている。草むらの中に、つる性のセンニンソウが他の物に絡みつきながら、きれいにパッと開いている4枚の白い尊片(がくへん)は、花弁のように見える。この実が熟して白く輝く毛を仙人のヒゲにたとえたそうだ。
 まだ陽射しが暑く、山路の日陰に入ってホッとする。アレチマツヨイグサ、コアカソが群れ、アキノタムラソウの青紫色、オトコエシの白い花、キツネノマゴには、唇形の小さいピンク色の花がいとしい。カナムグラは蔓状に絡まりあって茂り、誰かがちょっとたたいたら花粉が白く風に舞う。キンミズヒキは、何本もの黄色い花穂を上げ、ミゾソバに似た可愛い花のママコノシリヌグイには、茎に逆さにトゲがあり触ると痛そう。オオブタクサ、ブタクサの長い穂の花粉は、花粉症には要注意!稲田の畦には、イノシシの荒らした跡があり、電線が稔りの田圃を守っていて水田にはコナギが多く残っていた。
 12時近く、杉の植林帯の林道に入るとウルシの実が下がり、ムラサキシキプ、ノリウツギの低木、ヤマノイモの近くには、オニドコロ、カエデドコロの蔓が並ぶ。葉をさわるとまるでビロードのような感触のヤブムラサキの実は、まだ緑色だが紫色に熟すだろう。・山中は涼しくて湿気もあり、ソクシンランやヘラシダなどあり、マムシグサはぐ−んと伸びて立派な形態をなし、実はこれから真っ赤に熟すだろう。マツカゼソウの白い小さな花が、みんなの感嘆を呼ぶ。秋分の頃に咲くシュウプンソウ、霧の中のミズタマソウも全く水玉の嶮しである。ノブキの実も図鑑にあるのと、そっくりだった。
 12時30分頃、瀧への入りロまで来たが、日曜で人が多く修験道場の瀧には、白いさらし衣の人達が何人も木の間がくれに見えたので、山道で昼食にした。別に通行の人も無かった。山は、杉などが茂り涼しい。ふと、1頭のアオスジアゲノヽが、シダの茂る中をゆらゆらと舞いながら高い杉木立の方へ見えなくなった。この蝶はどうしてこんな山中にいるのか?あまりの美しさについ見入ってしまった。コシアブラの樹、ゴンズイ(樹木)の赤熟した実に黒い種がきれいに見えている。マルバハギにもこぼれるように花が美しい。
 昼食を済ませたあと、冨高さんたちの提案で瀧の上流の方へ歩き出した。きれいな川は水量も豊かで、ここも涼しくてゆっくり歩きながら、キヅタが木に巻きついていると、清水先生が、根元の卵形の葉は、上のほうでは翼のある形になると説明された。ヌマダイコンは白い花をつけ、「上がって来る時見たダイコンソウは黄色い花だったね」と、話し声もする。沢沿いの蛇の出そうな所にあるウワバミソウも多く、腰気の多い土手にはシダ類の、クチシノブ(葉先がとがる)、ホラシノブ(葉先がまるい)、トウゲシバ、クリハラン、ヘラシダなどが多く見られた。サツマイナモリの群落を見ながら、早良型花肖岩の並ぶ山道を引き返す。瀧の近くから瀧を見に降りた。どうどうと落ちて水量が豊かで、水しぷきが、あたり一面に広がる。
 瀧から上がってくる方途が揃うまで待っていたら、大塚さんが、ハダカホウズキを見つけてみんなで観察した。まだ育い実が葉の付け根から幾つも下がり熟すと赤くなる。よく似たイヌホウズキは、茎の途中から実をつけ、畑や道端に多い。
 13時30分頃から帰途につく。森の中から聞こえるツクツクボウシの声、近くからはミーンミーンと鳴く蝉もいる。ゆったりとした山道を、瀧へ行く車をやり過ごしながら歩くと、サジガンクピソウ、(花が下向きで、きせるの雁首に似る)や、イヌコウジュが、淡紫色の花穂をつけ、林をぬけて野道に出ると、ノアズキの黄色い蝶形の花が見えた。南アメリカ原産のケアリタソウが茂りあう。オオブタクサ、ブタクサも北アメリカ原産と図鑑にあるが、その強い繁殖力には驚く。やがて全員出発地に揃い、清水先生からr自然科学展を10月9,10,11日伊都文化会館で致しますので、協力お願いします」の挨拶があり、午後3時に、事故も無く終了した。


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