糸島自然研究会 2010年3月例会 鏡山(アオモジ観察)(3月22日)
瀬知 |
平成22年3月22日(日)JR虹の松原駅前9時40分、JRや自家用車それぞれに13名集合(含小学生1名)。ぱらぱらと小雨が降って生憎の空模様である。ひとまず鏡の武道館まで車に分乗していってみようということになる。武道館でもうひとり増えて計14名の参加となった。その頃には空も明るくなり太陽が覗き一安心。10時過ぎには出発となった。
武道館の植栽で、来る度に気になり話題に上るギンモクセイの実(核果)が今年も実っている。「珍しいねえ、初めて見た」の声。キンモクセイ(金木犀)の場合は、日本には雄株しかないとか、もちろん金木犀の実は見られないことになる。花の無い今、葉の大きさ硬さ、この実からしてもこれは銀木犀と同定するのもひとつの手かなと思う。
住宅街を歩いて行く途中、園芸種らしいカンヒザクラよりやや薄い紅のサクラが盛りである。時期的に早いが、河津サクラよりはピンクが濃い。
登山口に入って間も無くセントウソウの白い小花に出会う。春一番に先頭をきって花を咲かせるから其の名がついたというが、そこからずっと道案内をするかのように咲き続けていた。セリ科でニンジンの葉に似ているがかなり小形なので、もしかしたらミヤマセントウソウかもしれない。ユキノシタらしき緑の濃い肉厚の葉を見つける。我が家の庭で見るものは、葉裏は紅紫が濃く葉脈も紫を帯びている。本当にユキノシタだろうかと山頂で清水会長に尋ねると、これもユキノシタに間違いない、環境でもいろいろに色合いを変えることを教わった。 オドリコソウが春を待ちわびるようにピンク色の偕を膨らませている。花の姿はまだであるが、ハナミョウガの緑の葉が、枯れ葉ばかりの中に目を引く。たまに赤い実が残っていて楽しませてくれる。
これはなに?もしかしてトチの葉?と思える葉形に出会う。よく見ると一本の葉柄から出ていない。それぞれひとつひとつの葉が重なっている。これはミズナラでは?と考えてみる。
山に入って4〜50分位のところで、待望のアオモジに出会う。2月末に満開と聞いていたがさすがに盛りを越して黒ずみが見える。花数が多く盛り上がって重た気に房になっているのが雄木で、ぱらっと咲いているのが雌木である。さらに登っていくうち山の斜面を覆うように、これは程好い色合いで見事なアオモジが見れて満足できた。こうして見ると花期は、結構長いことになる。アオモジは大木にはならないが、あちこちに散らばって花を咲かせている。実の観察をしたことは無いが小鳥の良い餌となって種が散らばるのであろう。
ヤマアイの地味な緑の花、スミレの可愛い紫、思いのほか成育の良いヒメウズが次々と見られる。ヒメウズはトリカブトの仲間だとかウズとは鳥頭と書くんだとか、花の名の由来をいろいろ考える。その間にナルコユリらしいものの新葉があちこちに芽をふいている。
佐用姫ざくらの見事な枝ぶりに開花の姿を想像しながら先へ進むうち、真黄色のフサアカシアに圧倒される。ほとんどの人がギンヨウアカシアと思っていたがそうでないことを大塚さんに教えてもらう。このフサアカシアは葉は目立たず花の黄色が目立つが、ギンヨウアカシアは名のごとく銀色の葉が目立つ。またフサアカシアが一般にミモザと呼ばれているそうである。
ムラサキケマン、キランソウの花がもう紫色の花を開きかけている。マムシグサもマムシの如き頭をもたげかけている。センニンソウの白っぽい新芽がどこに絡もうかと言わんばかりに背伸びして見える。硬そうな丸っぽい濃い緑の掌大の葉っぱにムベかと思ったら「キジョラン」(鬼女ラン)だと、大塚さんが教えてくださった。
其の頃はお腹も空いてへとへと。赤い鳥居をくぐって広々と広がった頂上に着くと、丁度12時だった。すっかり暑くなり汗ぱんでいる。それぞれ弁当に1時間ほど取ってまわりの植物同定など行う。
アオキの雄花がわずか1〜2個開いている。これには白い葯が4個見える。雌花も見て比べたかったがまだ咲いていない。
集合写真を撮って屋根のある展望台から唐津の町、高島等を眺める。さらに東のひれふり展望台に行き碁盤の日状に整備された農地に目を落とし、その向こうにあまりにも広く横に長く続く虹の松原の広さに圧倒される。その保護は、さぞ大変だろうと。一方、眼下の木々が展望のためにか伐採されているのはちよっと興ざめだった。
山頂では白っぽい小さめのサクラやカンヒザクラは満開であったが、ヨシノザクラがまだまだで寂しかった。アオモジが主目的だから贅沢はいえない。
2時に駐車場に集合し、一応解散し、車で下山する人(4名)、登った道を下山する人(9名)、直線コースで下る人(1名)と別れる。徒歩で下山し武道館に3時過ぎに着きそれぞれ車に分乗して帰途に着いた。
翌、15日の糸島市の風速23mには恐れおののいた。昨日の観察会は、最高の好き日であった。 |
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