※佐藤 俊郎氏の回答
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回答
回答者:佐藤 俊郎氏  メールにて回答(1/22)  *原文のまま掲載

<質問(1)>(有害)化学物質の暴露による健康被害から市民を守る為に。
住民は、公園、公民館、学校などの公共の施設への薬剤散布や床ワックスやシックハウス建材使用などから無意識のうちに暴露されており。これらからの健康被害が危惧されています。このような健康被害を引き起こさないよう、新市において環境基本計画や独自の条例・ガイドラインなどを策定し施行させるお考えはありますか?

回答 

私は、昭和28年に、環境問題の原点とも言える熊本県水俣市に生まれました。小学校2年生(途中数年は阿久根市)まで水俣で過ごし、おぼろげながら公害が人々の生活に甚大なる影響を与え、かつ地方都市に壊滅的な影響を与えた事を記憶しています。また、九州芸術工科大学(現九州大学)では、当時、全国ではじめて、総合的に「環境設計」を学ぶ場に身を置き、学生として読んだレイチェル・カーソンの「沈黙の春」は、目に見えない物質の生活や環境への影響を告発した衝撃的な内容で、強い影響を受けました。
私は、現在まで環境デザインコンサルタントとして住宅から公共施設の構想、企画、設計まで手がけていますが、化学物質をふくむ、いわゆる「新建材」や、仕上げ材の問題は、当事者として極めて重要で、深刻な問題だと認識しています。公共施設は、「箱もの」として、しばしば、予算や財政的な視点から論じられています。つまり、入札価格が低く、建設コストが安ければ、それでよし、とする考えかたですが、本来、公共施設は、民間の施設に先駆けて、地域の「模範」となる施設でなければならないと思います。そこでは、施設が満たす与件、機能として住民の健康被害をもたらす材料、素材、仕上げについての厳格な規制があるべきだと考えます。
この様なことからも、私は、糸島市における環境基本計画や、さらに公共施設に設計に関するガイドラインなど独自の制定をめざします。



<質問(2)>電磁波の暴露よる健康被害から市民を守る為に。
住民は、携帯基地局、高圧送電線などからの電磁波に暴露され続けており、時には深刻な健康被害を引き起こすほど危険なレベルの電磁波暴露を受けている場所もあります。新市において他の自治体でも取り組んでいるような電磁波からの健康被害を未然に防止する為の環境基本計画や独自の条例・ガイドラインなどを策定し施行させるお考えはありますか?

回答 

私は、アメリカ在住12年間に、民間コンサルタントとして、地元行政、あるいは地域団体と折衝をおこないながら、さまざまなプロジェクトを行ってきた経験があります。その過程で、自治体がどちら、つまり、住民サイドに立つか、業者サイドに立つか、その違いを強く認識していました。国情の違いがあるとはいえ、少なくとも自治体は、住民の利益代表であり、疑わしきは、住民の利益に、という立場を貫くべきだと考えます。
電力、あるいは携帯電話という民間の会社と住民の、いわゆる「民-民」の問題ではなく、自治体は、住民の健康を守るという「公益」を代表して、様々な問題に対処すべきだと考えます。電磁波について、様々な文献、資料などの情報を収集し、住民に公開し、健康被害を未然に防ぐ、基本計画や独自の条例・ガイドラインなどを策定します。
付記:
雷山地区の送電線計画について、地下埋設が、(前)前原市長の九電との交渉の結果実現した、と言った内容の資料が住民に配布されていますが、まったく問題の本質を歪めるものです。雷山周辺の住民の方々が望んでいるのは、送電線計画、そのものの背景にある理由がわからない、つまり、敷設の理由がわからない、という点であり、その疑問には、まったく答えずに、手法として地下埋設を行うというのは、住民の利益を代表する首長の正当な行為とは思われません。電磁波の問題も地下に埋設する事で解決するとは思えません。



<質問(3)>貯蔵・輸送・公募などに問題点のある高レベル放射性廃棄物処分場について。
安全性が決して確保されることが無い核燃料サイクルについて警戒・危惧するところです。そこで「核廃棄物処分場の誘致」について端的にご質問いたします。原子力発電環境整備機構(NUMO)が公募している高レベル放射性廃棄物処分場の設置可能性調査に応募する考えはありますか?

回答 

設置可能性調査に応募する考えはありません。
基本的には、廃棄の手法が確立されていない、あるいは寿命がつきた施設の解体に巨額のコストがかかる原子力発電所そのものについて、推進に反対です。環境の問題からも、あるいは次世代へ負の財産を残さないという視点からも、糸島は、太陽光、風力、あるいはバイオといった代替エネルギーを模索すべきだと考えます。万一、放射能廃棄処分場などの誘致が行われれば、第一次産業への悪影響は甚大なるものであり、都市型観光なども成立しなくなります。誘致による、自治体への経済的な援助・支援は、安直な財政問題の解決であり、住民主体の新しい市政をめざす糸島市には、放射性廃棄物処分場はふさわしくありません。
糸島を全国に先駆ける環境のモデルにするためには、使用する電力の質も問われるべきだと思います。自然エネルギーや、電力の地産地消ともいうべき、小規模発電、あるいは将来的には、国内外で研究が進むスマートグリッド、といった先進的な技術も、今後の糸島のあり方を考える上で研究しなければならないと思います。