◎支えあう喜びが「しあわせ地蔵」の笑顔
「しあわせだから幸せそうなお地蔵様が描けるんですか?」インタビューは単刀直入に始まった。「いいえ、幸せになりたいなあという素直な気持ちが絵になっているだけ。しあわせ地蔵を書いて一番幸せにしてもらっているのは自分ですよ」と松本芳太郎さん(49)=前原市高田=は語る。 |
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しあわせ地蔵を書き始めたのは7年前。篠栗の南蔵院で「わらべ地蔵」を見て書いてみたのが始まり。絵は仕事ではなく趣味だった。以前の職場に飾った絵が評判を呼び、進められてイベント会場で実演していると人が集まり「気持ちにぴったり」「癒される」と感動してくれた。自分を救うために書いていた絵や言葉が世の中の和みになることを知り驚いた。
夜、ほろ酔い加減で筆をとる。絵と言葉どちらが先とは限らない。ちょうどいいのが浮かんでくる。和紙や色紙に顔彩絵の具を使う。宗教画を書いているつもりはない、生きている現実を絵にしただけ。子どもや家族の一言からひらめきがうまれることもあるし、風花福祉作業所所長として勤務していることも影響が大きい。障害者の方たちが葛藤の中で、楽しみや笑いを共有して生きていることに励まされることから生まれるものも多い。
「怒りなさるな、浮かれなさるな、悲しみなさるな、今ひとときのこと」父の最後の言葉もしあわせ地蔵の絵に添えたことがある。最近立て続けに肉親を看取った。人生感を変えるほどの出来事だったが、絵は生きる意味を知り明るくなった。人という字のように支えあっていることを感じられるから生きている絵が描ける気がする。 |
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記事に掲載するために作品を選んでいたら、一枚の絵に添えられた言葉に涙があふれ、お地蔵様に頭をなでられたような暖かい気持ちになった。あまりに素直な気持ちで描かれているので、見る人の心を無防備にさせてしまうようだ。(桂) |
伊都美術工芸協会 URL:http://www.itogura.com/ibikyo/ 事務局長 松本芳太郎 090-8668-1490
作品展/アートinすせんじ 街ごと美術館 10月22日〜11月1日 周船寺商店街 |